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尻の芸術 (PART 1)



 


尻の芸術 (PART 1)


 



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デンマンさん。。。 今日はふざけるのでござ~ますかァ~?



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いや。。。 ふざけるつもりはありません。。。 真面目な話をするつもりですよ。。。


でも。。。、でも。。。、上の画像を見たら、デンマンさんが絶対に悪い冗談を飛ばすと思うのですわァ~。。。


いや。。。 悪い冗談も飛ばしません。。。


つまり、今日は真面目にお話をするのでござ~ますかァ~?


そうです。。。


分かりましたわ。。。 で、いったい、どういうわけで可笑しなタイトルをつけたのですかァ~?


実は、バンクーバー市立図書館で借りていた本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのですよ。。。



うしろ姿


 


私は、いいなと思うと首筋にくる。(略)
あちこち廻って疲れたのか、その日私は機嫌がよくなかった。(略)
マリー・アントワネットの園遊会のお茶道具などという、どっちでもいいようなものがご大層に飾られれていて、少し腹が立ってきた。
オリエント館だけは丁寧にみて、また明日出直してこようと思っていたら、閉館を知らせる合図があった。


人気のなくなった美術館はどこが出口なのか見当もつかない。
こんなところに閉じ込められてしまったら恐いな、と思いながら歩いていたら、いきなり目の前に女のお尻があった。


 



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大理石の女性像だったが、これがなんとも見事なのである。
威あって猛(たけ)からず。
黄色味を帯びた石が実にあたたかい。


みぞれの降る冬の夕暮れである。
石造りの部屋の小さな明かりとりから弱々しい光の中でそれはやわらかく静かに立っていた。
首筋がスウッとした。


見ている人間は私一人である。
絵や彫刻をたった一人で鑑賞したのは、生れて初めてであった。
このことも感動を深めた。(略)
ミロのヴィナスだったのである。(略)


ミロのヴィナスは、あの瞬間私のためだけにあったのである。
まわりには人もなく音もなく、時間もなかった。
紀元前1世紀だか2世紀につくられ、1820年に、ミロス島で畠をたがやしていた農夫によって発見されたというこの像が、日本からやってきた一人の女のために、立って見せてくれたのである。


それも、はじめは名を名乗らず、まずうしろ姿の美しさで挨拶し、私の首筋にその美しさを判らせてくれたのである。


 


(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




131-133ページ『眠る盃』
著者: 向田邦子
2016年9月15日 第2刷発行
発行所: 株式会社 講談社



あらっ。。。 ミロのヴィーナスのお尻だったのですわねぇ~。。。



そういうことだったのですよ。。。



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『ヴィーナスのえくぼ』



ところでデンマンさんが貼り付けた引用文中のお尻はルーブル美術館のミロのヴィーナスのお尻なのでござ~ますかァ?



いや、違うのです。。。ビーナスはヴィーナスでもナポリ国立考古学博物館にあるヴィーナス像の尻です。。。 「カッリピージェのヴィーナス(Venus Kallipygos)」と名付けられています。 これは、ギリシャ語で 文字通り“美尻のヴィーナス”という意味です。 この彫像は前から見るよりも後ろから眺めると なぜ そういう名前がついたか一目瞭然なのです。。。 ほどよく丸みを帯びて、つやつやとした美尻につい触れたくなるような。。。


 



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デンマンさん。。。 嬉しそうに説明するのは結構ですけれど、ヨダレをたらすことはござ~ませんわァ~。。。



失礼しました。。。 ついつい見とれてしまったので。。。


つまり、上の“美尻”を鑑賞するために、この記事を書こうと決めたのですか?


いや。。。 そればかりではないのです。。。 ちょっと次の“美尻の女性”を見てください。。。



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あらっ。。。 デンマンさんはこの女性の“美尻”にもヨダレをたらすほど惹かれるのでござ~ますかァ~?



うへへへへへ。。。 いけませんか? これは あの有名なドミニク・アングルが1814年に描いた『グランド・オダリスク』という絵なのです。


この絵にデンマンさんは特別に惹かれているのですか?


もちろん、素晴らしい絵だと思っているのですよ。。。 でもねぇ~、“美尻”に惹かれているだけじゃなく、この画家の事でかつて次のような記事を書いたことがある。。。




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現実に丸善に足を踏み入れると、どうしたことか、


私の心を持たしていた幸福な感情は消え失せ、


画集を一冊手にとってバラバラとめくるだけでも


大変な労力を必要とし、


本を抜き出しては元の場所に戻すことさえできなかった。


 


以前は好きだったアングルの画集にまでも憂鬱を感じるに至り


抜いたまま積み重ねた本の群れを眺めていた。


 




梶井基次郎という作家は『檸檬』という鋭い感受性と詩情あふれる美しい作品を書いたのだよ。 この作品はゆるぎない美しさをたたえ、昭和初期の文壇に一石を投じたと言われている。



その事とオイラとどういう関係があるのですか?


オマエは“アングルの画集”を見たことがないだろう?


見たことがありません。。。 第一、“アングル”という画家の名前を聞いたこともありません。


そうだと思ったよ!


どうして、そうだと思ったのですか?


簡単なことだよ! オマエはコメントの中で次のように書いている。




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I. A.も言ったように、白人女性の裸の写真が


pin-upされたbachelor用のapartment/condominium


のなかで、猥雑卑猥な文や煽情的な絵が満載された


websitesを書きながら、一人自慰にふけっているのは、


一体、何処の老人の方なのでしょうか。



オマエが“白人女性の裸の写真がpin-upされた”と書いてるけれど、オマエが言うpin-upは実は 1889年にポ-ル・ピール(Paul Peel)という画家が書いた“ベニスの風呂上りの女(A Venetian Bather)”という作品なのだよ。



マジで。。。? まるで現代画家が書いたようじゃありませんかア!


それで オマエは“pin-up”だと誤解してしまったのだよ! ポ-ル・ピール(Paul Peel)という画家はカナダ生まれの画家で1860年11月7日に生まれている。 1892年10月3日にパリで肺炎をこじらせて亡くなってしまった。 梶井とほぼ同様に満31歳で亡くなっている。



ポ-ル・ピール(Paul Peel)の作品


 



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  自画像



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。。。んで、そのカナダ人の画家とアングルの画集と、どのような関係があるのですか?



アングルはフランスの画家でポ-ル・ピールよりも有名で、次のような作品を残している。



ドミニク・アングル


Jean-Auguste-Dominique Ingres



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(1780年8月29日-1867年1月14日) 86歳没)


フランスの画家。19世紀前半、当時台頭してきたドラクロワらのロマン主義絵画に対抗し、ダヴィッドから新古典主義を継承、特にダヴィッドがナポレオンの没落後の1816年にブリュッセルに亡命した後、注目され、古典主義的な絵画の牙城を守った。


入念に組み立てられた肌理・テクスチャと徹底的に研鑽された描線、そして緊密な調子の諧調によって成立する空間は、「端正な形式美」を湛えている。


この様式美はセザンヌによって「肉体を全く描かずに済ませた」と批判されるほど徹底している。


アングルの美術史理解はアングルの作品群から伺い知れるように公汎であり、且つ結束性が高く、加えて非常に示唆的である。


顔料やバインダーの運用方法もまた多様であり、数百年の隔絶がある巨匠達の作品の研究にも余念がなかった。


その研究の成果として、組織的且つ合理的な方法を「保存が完璧」と讃えられる制作と言説によって的確にのこしている。


他方では、ポスト印象主義者たちやキュビスト、現代美術家の根底的な方法やアイデアに決定的な影響を与えており、アングル芸術の影響範囲、射程は底知れないものがある。


アングルの作品とその個性は、同時代の体制派、反体制派の必ずしも芳しくない評価にもかかわらず、影響は非常に甚大で、彼に先行する画家と彼に続く画家の代表作にさえ決定的な影響を与えた事例も少なくない。


 



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出典: 「ドミニク・アングル」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



見れば明らかなように、アングルの作品は明らかにポ-ル・ピールに大きな影響を与えている。



つまり、その事を言うために、わざわざ梶井基次郎の『檸檬』を持ち出してきたのですか?




『レモンと孤独な老人』より
(2016年1月26日)



要するに、太田将宏さんはデンマンさんのマンションを訪れた時に ポールピールの絵を見て “白人女性の裸の写真がpin-upされた”という印象と“猥雑卑猥”という感覚に惑わされて 絵の中に表現された鋭い感受性と詩情あふれる ゆるぎない美しさを完全に見落としていたと言いたいのでござ~ますかァ?



その通りですよ! だから、太田老人が次の絵を見れば、当然“白人女性の裸のpin-up”としか思わないのですよ。。。


 



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でも。。。、でも。。。、上の絵ってぇ、ちょっとヘンではありませんかァ~?



どこが。。。?


ちょっと背中を見てくださいなァ。。。長すぎると思いませんか? それに、手足もそうですわァ~。。。 しかも極端な なで肩ですわァ~。。。


あのねぇ~、卑弥子さんがそのように感じるのはもっともです。。。 実は、アングルが上の絵をローマで描いてから、この絵をはフランスに送ったのだけれど、当時のフランスの美術批評家の間でも、全く評価されなかった。。。


やっぱり、背中が長すぎるのですわわよう。。。


たぶん、当時のフランスの美術評論かも そう思ったのでしょう。。。 でもねぇ~、アングルは、解っていて そう描いたのですよ。。。


どうして。。。?


なぜなら、解剖学的な正確さよりも理想的な美しさを追求したのです。。。 そのため、実際の人体ではあり得ないような形になる事も厭わなかった。


確かに、きれいな事はきれいですわ。。。 お尻が強調されていて、見る人の目を引き付けてしまうような絵ですわァ~。



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。。。でしょう!? 実際、解剖学的な正確さよりも理想的な美しさを追求するという考え方は 後世のピカソらキュビズムの画家達に高く評価されたのですよ。。。 つまり、『グランド・オダリスク』という絵は美術史上重要な作品なのです。。。



つまり、この事を言うために 長々と説明してきたのですか?


もちろん、それだけではありません。。。 アングルの影響は今日まで続いているのですよ。。。 ちょっと次のクリップをじっくりと観てください。。。


 



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もし、この動画を観て 太田老人のように“猥雑卑猥”という感覚しか呼び起こさないとしたら、その人は芸術の美的感覚が欠如しているのです。。。 そういう人は人間の。。。特に女性の ゆるぎない美しさを味わうことのできない 文化的に貧弱な人間だと思うのですよ。。。



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 (すぐ下のページへ続く)


by denman1720 | 2019-11-06 13:11 | 美術・芸術 | Comments(0)

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